ナミブ砂漠の旅行記【ナミビア】
2023年9月9日〜9月18日に南アフリカ共和国、ナミビア、ジンバブエ、ボツワナを旅行してきた。
この記事は、ナミビアのナミブ砂漠を訪れたときの旅行記である。なお、料金は当時の値段とレートで記載している。
ナミブ砂漠について

ナミブ砂漠は、ナミビアの大西洋沿岸に広がっている広大な砂漠。
ナミビア西岸は、沿岸を北上するベンゲラ海流と亜熱帯高圧帯の影響で降水量が少なく乾燥した土地であるが、そこに、南アフリカ共和国やレソトなどの内陸部にある岩石が侵食されてできた砂が、オレンジ川によって運ばれ、ベンゲラ海流によって北へ流され、風によって大陸側に吹き上げられることでナミブ砂漠が形成された。

ナミブ砂漠の中で特に有名なのは、デッドフレイ(Deadvlei)という、砂丘の真ん中に枯れた木が立っている場所。このあたりの砂が赤っぽいのは、砂の中の鉄分が酸化していることが原因だそうだ。
今回はデッドフレイに行くためにナミビアを訪れることにした。
世界遺産としてのナミブ砂漠

登録名:ナミブ砂海
登録年:2013年
登録区分:自然遺産
登録基準※:(7),(8),(9),(10)
※世界遺産に登録されるためには(1)~(10)の登録基準を1つ以上満たす必要がある。
(1)~(6)は文化遺産、(7)~(10)は自然遺産の基準。
登録基準とその内容(私が[UNESCOのサイト](https://whc.unesco.org/en/list/1430)を見て要約したもの)を書いていく。
(7)類まれな自然美や美的重要性を持つ自然現象や景観を含むもの →年代、規模、砂丘の高さが傑出している美しい砂漠
(8)地球の歴史や地形、地質などの発展過程を示す顕著な例 →約1,000km離れた場所にある岩石から削られた砂が、河川・海流・風によって運ばれ、堆積することで形成された広大な砂漠
(9)生態系や生物の進化の過程を示すもの →極度に乾燥している環境に適応し、霧から水分を得て生きることができるよう進化した動植物※
(10)絶滅の危機にある種を含む、生物多様性にとって重要な自然生息地 →霧が発生する砂漠に適応した珍しい固有種の生息地
世界中にある砂漠のなかでも、ナミブ砂漠は特に美しく、砂漠が形成された経緯も特別であることから世界遺産に登録されているということである。
ちなみに、ナミブ砂漠は自然遺産の登録基準である(7)~(10)のすべてを満たしている。こういう世界遺産はあまり多くない。
※体に付着した霧の水滴を長い舌でペロリと舐めるトカゲ、地下水を得るために地下深くまで根を伸ばす植物などがいるらしい。
ウィントフックへ移動

さて、ナミブ砂漠に行くために、まずは南アフリカ共和国からナミビアの首都ウィントフックに移動する。
利用したのは南アフリカ共和国のフラッグ・キャリアである南アフリカ航空で、料金は約2万円だった。

短いフライトのため機内食はなかったが、ドリンクとしてルイボスティー※が提供されていた。ご当地感があって良い。
※ルイボスティーの原料であるルイボスが育つのは、世界中で南アフリカ共和国の一部地域だけらしい。
今度ルイボスティーを買ったら原産国を確認してみてほしい。「南アフリカ共和国」と書いているはずだ。
ヨハネスブルグを出発してから2時間ほどでウィントフック・ホセア・クタコ国際空港に到着した。
ホセア・クタコ国際空港

ホセア・クタコ国際空港は、ウィントフックの郊外にある空港で、主に国際線が発着している。小規模の空港ではあったが、ターミナルビルは新しく、きれいな空港だったと記憶している。
当時、私のスマホのキャリアはahamoで、海外ローミングは無料だったが、残念ながらナミビアは対象外の国だったのでSIMを購入することに。
空港にはナミビアの大手通信会社MTCのショップがあったので、そこでSIMを購入した。手元のメモによると料金は444円で、セットアップもスタッフがやってくれた気がする。

SIMを購入した後は、タクシーでウィントフック中心部に移動。タクシー代は520ナミビア・ドル(≒4,000円)だった。
空港からウィントフック中心部までは45kmも離れているため、タクシー代はそこそこ高くなってしまうが、残念ながら他に移動手段はない。空港からレンタカーを借りている人も結構いた。
空港から市内までは何もない荒野がひたすら広がっていた。もっと近くに空港をつくってくれと思ったが、色々事情があるのだろう。
ウィントフック

ウィントフック(Windhoek)は、人口約45万人のナミビアの首都。ヨハネスブルグに比べると小さな街だが、中心部にはビルが建ち並んでいて雰囲気はかなり近代的だった。
ヨハネスブルグに比べると治安もいいらしいが、後ほどツアーの運転手に聞いたところ、「昔は安全だったけど、最近(2023年時点)は、治安が悪化しているので歩くのはあまりおすすめしない。」と言われた。

時間もなかったので、食事と買い物の時以外は出歩かなかった。
砂漠ツアー

デッドフレイに行くにあたり、1泊2日のツアーを利用することにした。お願いしたのは[TK Namibia Tour](https://www.tknamibiatours.com/index.php?La=E)というツアー会社。
ツアー代金は、1人あたり8,650ナミビア・ドル(≒69,000円)。これは2人1部屋の場合の料金で、人数とかで変わるんだと思う。
最初は少し高く感じたが、結構良いホテルに泊まれるので、このくらいが妥当なお値段なんだと思う。
ウィントフックからセスリエムへ

ツアーのルートは上の図のとおり。朝ウィントフックを出発して、ナミブ砂漠の東側のセスリエムという場所を目指す。
8時30分、約束通りの時間にドライバーがホテルまで迎えに来てくれた。

ウィントフックを出発してからは、低木と草が生える荒野が続く。たまに野生の動物が現れるので、そのときは運転手が教えてくれる。

クドゥ。人んちのサボテンを食べていた。

シマウマ。ぼんやりと見ると背景に同化している気がする。

木にくっついている謎の草は鳥の巣らしい。

12時頃にはSpreetshoogte Passという見晴らしのいい場所に到着した。この断崖を下った先にナミブ砂漠がある。

13時にはソリテアという村で昼食と小休憩。


イボイノシシ。思ってたより小さかった。

白い砂に赤い砂が混ざってきた。目的地に近づいてきた。

ウィントフックを出発してから6時間ほどでセスリエム(Sesriem)という場所に到着。長い移動だったが、たまに現れる動物のおかげで退屈しなかった。
セスリエムは、ソススフレイやデッドフレイに比較的近い砂漠観光の拠点のような場所で、ホテルやキャンプ施設がいくつかある。
ただし、宿泊施設とガソリンスタンドの他には何もなく、レストランすら無さそうな感じだった。
私が宿泊したホテルは後ほど紹介する。
セスリエム・キャニオン

セスリエムに到着して最初に連れて行ってもらったのはセスリエム・キャニオン(Sesriem Canyon)という場所。
この渓谷はツァウチャブ川という川の侵食作用によってできた、全長約1km、深さは最大30mほどの谷である。

ちなみにツァウチャブ川は、雨が降った時だけ水が流れる涸れ川、学生の時、地理の授業で習ったワジというやつである。

セスリエム・キャニオンでは谷の底を歩いて散策することができる。
エリム・デューン

夕方になるまでホテルで休憩した後は、セスリエムの近くにあるエリム・デューン(Elim Dune)という場所に行った。

エリム・デューンより西側には果てしなく続くナミブ砂海が広がっている。
ガイドからは「登れど登れど、さらに高い砂山が見えるだけで、頂上に着くことはないから15分くらい登ればいいよ。」と言われた。
そう言われても、やっぱり登りたくなるもので、30分くらい登ってみたが、やはりガイドの言う通り見える景色は変わらなかった。

登るのを諦めて砂丘の北側を見てみると、目の前には立派な岩山が。

こちらはオリックス。ぽつんと一匹座っている姿がかわいい。
エリム・デューンにはこんな感じで草が結構生えていたので、草を食べているオリックスもいた。

太陽はさらに沈む。周囲も砂丘の影になり薄暗くなってきた。
西側には高い砂丘があるので残念ながら日没を見ることは出来ないが、反対側に見える山は夕日に照らされてとても美しかった。

そして、この日一番感動したのが日没の後。太陽が沈んだ直後の空が、青・黄・赤・紫といった色のグラデーションに染まりとても幻想的だった。こういう現象をマジックアワーというらしい。
Dead Valley Lodge

エリム・デューンで夕暮れを楽しんだ後は、ホテルに移動。宿泊したのはセスリエムにあるDead Valley Lodgeというホテル。
まず上の写真を見てほしい。フロントの雰囲気があまりにも素敵。というか空が綺麗過ぎる。

各部屋はロビー棟から少しだけ離れているので、専用のカートで送迎してくれる。

部屋の中もアフリカっぽくてよい。


夕食も豪華だった。基本的にはビュッフェ形式だが、一番の目玉は現地でしか食べれないエランド、スプリングボックなどの動物の肉。
欲しいお肉を注文するとシェフが目の前で焼いてくれる。どれも牛肉みたいで美味しかった。

ちなみに、夜は満天の星空を見ることができた。おそらく過去一綺麗な星空だった気がする。
総じて、とても素晴らしい滞在だった。
ソススフレイ

翌朝、日の出前に起床すると、砂嵐が発生していた。
まだ暗かったので周囲がどんな状況か分からなかったが、とりあえず、ソススフレイのほうに向かう。

地図を見ると、ツァウチャブ川の流路がナミブ砂海に食い込むように存在している。
ソススフレイ(Sossusvlei)は、その最奥部に位置し、ツァウチャブ川の上流で降った雨が流れ着き、蒸発して川が消滅する場所である。

ツァウチャブ川の河川沿いには、キャメルソーン(camel thorn)という木が所々生えている。地下水を利用するため根っこがとても長いらしい。

セスリエムを出発してから1時間ほどで、デッドフレイの駐車場に到着。結局、日が昇った後も砂嵐は止まなかった。
駐車場からデッドフレイまで、砂嵐の中、歩いて行く。靴の中は砂まみれになってしまった。

デッドフレイ

歩くこと20分ほどで、目的地のデッドフレイ(Deadvlei)に到着。
デッドフレイは、周囲を砂丘に囲まれた白い粘土質の平地。
昔はデッドフレイにもツァウチャブ川の水が流れ込んでいたが、流路が変わり水の供給が途絶えたことで木々が枯れ、現在のような姿になったらしい。

そして、ありがたいことに、デッドフレイの中はほぼ無風。いままでの砂嵐が嘘だったかのように静かな世界が広がっていた。
周囲を囲む砂山が風を遮ってくれたおかげだ。

ここに残っている枯れた木は、ソススフレイに生えていたキャメルソーンと同じ。約600年前から存在しているとのこと。

青空が映らない画角で写真を撮ると、朝日に照らされた砂丘が、まるで夕焼けの様に見えなくもない不思議な光景。

ガイド曰く、砂は風によって動くので、デッドフレイの範囲も少しずつ変わっているとのこと。
また、デッドフレイの南東側には、このあたりで一番高い砂丘であるビッグ・ダディがあるが、写真を撮るのを忘れた。
デューン45

周囲を砂丘に囲まれているデッドフレイを出ると、まだ砂嵐が吹き荒れていた。
登る予定であったデューン45という砂丘も、強風のためとても登れる状況ではなかった。

高い砂丘に登って、見渡す限りの砂海を眺めたかったが、それができず残念。
このあとは、ホテルに戻り昼食をいただいた後、ウィントフックに戻った。
泊まったホテルの紹介
最後にウィントフックで宿泊した2つのホテルを紹介する。写真を撮ってないのであまり思い出せないが、2つとも特に不満もなくいいホテルだったと思う。
Town Lodge Windhoek

Town Lodge Windhoekは、ウィントフックに到着した初日に宿泊したホテル。
市の中心部から離れているが、近くに大きなショッピングモールもあり、治安も良さそうな場所だった。
Tenbergen Pension

Tenbergen Pensionは、砂漠ツアーから戻ってきてから宿泊したホテル。
市の中心部の少し南側にあるホテル。近くのショッピングモールまで歩いたが、特に危ない目には遭わなかった。
感想
ナミブ砂漠を訪れてみての感想を書いていく。
①オリックスがかわいい

ナミビア旅行中、野生の動物達に会えることが楽しみの一つだったが、一番印象に残っているのはオリックスという動物。
砂漠の真ん中にポツンと立っている姿に哀愁を感じるし、フォルムも可愛らしい。
②想定外の砂嵐

デッドフレイを訪れた日は砂嵐だった。
幸いにもデッドフレイでは周囲の砂丘が風よけになったおかげで、砂嵐の影響が少なかったが、砂丘に登ることはできなかった。
こればっかりは自然が相手なので仕方がない。
③換金は南アフリカ共和国で

ナミビアの通貨であるナミビア・ドルは南アフリカ共和国の通貨ランドと等価で固定されており、南アフリカ共和国のランドはナミビアで使用することができる。
しかし、ナミビア・ドルは南アフリカ共和国で使うことができないので、もし、両国を訪れる予定があるのであれば、両方の国で使える南アフリカ共和国のランドのほうが便利。
なんだか香港とマカオの事情に似ている。
④チップについて

じゃあ実際に現金を現地で使ったのかというとほとんど使っていない。ツアー代金は事前に銀行振込だったし、クレジットカードが使えるところも多い。
ただ、アフリカのこの辺りはチップの文化があるということで、ドライバーにチップを渡す場合は現金が必要になる。
郷に入っては郷に従えということで、ドライバーの運転手には一応チップを渡した。
オススメ度
★★★★★ 星5
砂嵐のせいで天気に恵まれなかったという印象が強かったが、思い返してみると、星空は綺麗だったし、デッドフレイも普通に見れたので、そんなに悪くなかったのかなと今は思う。
日本からはかなり遠いが、こんな景色を見れる場所は地球上なかなかない。行ってよかった。
ヴィクトリアの滝の旅行記につづく